私が流産の手術を受けた病院は
おじいちゃん先生がひとりでやっていました。
入院設備や手術もできるところなので
おそらく地域の人たちは昔から
そこを利用していたのだろうと思います。
私はよそから越してきた人間だったので
とりあえず一番近いからという理由で
通っていました。
でも今回の件でこの病院には
もう二度と行くことはありませんでした。
もちろん先生は悪くないし
私の受け取り方の問題だと思っています。
手術が終わって起きられるようになり
診察室で先生とお会いしました。
先生は茶色のガラス瓶を持っていました。
そこには水の中にバラバラのものが浮いていました。
「これが子宮の中から取り出したものです」
・・・てことは、赤ちゃん?
私はここで感情を停止しました。
これ、見せる?私に?
そう思ったときに心をシャットダウンする
必要性を感じたんです。
すでに人の形ではなく
ただの物質として扱われていた
私の最初の子ども。
怒る気にもなれず悲しみも生まれず
ただ静かに家に帰りました。